会長挨拶

身体動作学研究会 会長就任のご挨拶

このたび、身体動作学研究会の会長を拝命いたしました伊坂忠夫です。佐川前会長ならびに、これまで本研究会を支えてこられた諸先生方のご尽力に深く敬意を表するとともに、今後のさらなる発展に向けて微力ながら尽力してまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

身体動作学とは何か

本研究会の名称は、日本体育大学の石井喜八先生が主宰された「キネシオロジー研究室/身体動作学研究室」に由来しています。ご存知の通り、Kinesiology は日本語で「身体運動学」と訳されることが多く、身体の動きや運動を力学的・生理学的視点から探究する学問です。一方で「身体動作学」という表現は、身体運動学のアプローチを内包しつつ、人間の身体がどのように動くのかを観察・分析・解釈し、「なぜそのように動くのか」「その動作は何を意味するのか」といった、動作の質・意図・文脈にまで焦点を当てる学問領域です。すなわち、客観的な物理・生理指標に加え、心理的・文化的側面を含む質的な指標にもアプローチする、より包括的な学問といえます。

テクノロジー時代における身体動作学の意義と役割

AI、モーションキャプチャ、ウェアラブルデバイスなどの技術革新により、動作の数値化・可視化が急速に進んでいます。しかし、テクノロジーがいかに発展しても、「動作の意味」や「人間らしさ」は、客観的データだけでは捉えきれません。だからこそ、質的なアプローチを含む身体動作学の視点が、今まさに求められています。身体性をもつ人間にとって、身体動作学は、スポーツ、医療・リハビリ、教育、福祉、芸術など、あらゆる分野で活躍が期待され、大きく貢献できると確信しています。そのためにも、これまで以上に、近接・隣接・異分野の研究者、企業、行政とのネットワークを活用し、身体動作学が目指す「人間らしさの理解」と「身体性の豊かさ・可能性の追求」を進めていくことが求められています。

最後に

身体動作学は、動作の探究を通じて「人間とは何か」を問い直す学問です。本研究会が、研究者・実践者・学生の皆さまにとって、学びと交流の場となるよう努めてまいります。今後とも、皆さまのご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

2025年4月1日

身体動作学研究会 会長

伊坂 忠夫